シリーズ:自分らしい生き方と働き方「育休復帰後に地方移住を決意した元中学校教員のなかよしさん(現在個人事業主)」

●プロフィール

・お名前(ニックネーム)なかよし
・年齢(20代、30代等) 30代
・お子さんの年齢や性別 4歳、0歳
・出身地/居住地 石川県(以前は埼玉県 川口市)
・育休取得の有無 2020年に第一子出生時に3ケ月
・ご職業 元中学校教員(現在は個人事業主)

■学校教員としての半年間の育児休業を申請(3ケ月で復職)

●学校教員としての忙しい日々

もともとなかよしさんは埼玉県の中学校にて理科の先生をされていました。授業内容にもこだわりを持ち、生徒が理科に興味を持ってくれるように時間をかけて授業の準備に取り組んでいました。加えて、卓球部の部活顧問もされていたこともあり、退勤時間は19時〜20時頃になることが多かったそうです。

●上司に3度相談して何とか6ケ月間の育児休業を取得

そんな折、2020年にパートナーが第一子を妊娠しました。

子供の出生直後の時期は、家族に寄り添いたいと考え、育児休業を取得することを決めました。ただ、職場の上司はなかなかなかよしさんの育児休業を認めてくれませんでした。

1回目に上司に相談した際は、「前例がないので取得は難しい」と一蹴されてしまいました。

それでも、なかよしさんは「前例がないのであれば自分が育児休業を取得して、前例を作る」という不退転の覚悟で再度上司に相談すると「代替え教員が見つからない以上、取得は難しい」と、またしても断られてしまいました。

諦めずに3回目に相談に行くと、上司も根負けしたのか、なかよしさんの想いを汲んで育児休業の取得に理解を示してくださり、6ヶ月間の育児休業を取得できるようになりました。

ただ、年度中での育児休業取得という時期的な問題もあり、結局代替え教員が見つかりませんでした。そのため、同じ中学校に勤務する同僚の理科教諭2名(なかよしさんを含めた3名で各学年を担当)でなかよしさんが抜けた穴を埋めることになりました。

●6ケ月の育児休業を3ケ月に短縮して教員復帰

なかよしさんは、子供が生まれてから育児に励む日々を過ごしていました。

ただ、なかよしさんが育児休業に入る際に代替え教員が見つからなかったことから、同僚の理科教員に業務負荷がかかることが気になりました。そこで、中学校の様子を伺ってみる、残された理科教員が疲弊してしまっているということを耳にしました。

加えて、当時はコロナ禍ということもあり、外出規制があり家にこもって育児をする日々が続き、閉塞感もあったため、なかよしさんは6ケ月間の育児休業期間を3ケ月に短縮して早期に復職することにしました。

●復職後の仕事

復職後は、なかよしさんは仕事と育児の両立に苦労したそうです。

育児休業前は残業することも多かったのですが、復職後は保育園のお迎えで17:30には退社しなくてはなりませんでした。そのため、卓球部の顧問を務めていながら部活を最後まで見れなくなってしまいましたし、授業の準備にかけられる時間も少なくなってしまいました。

加えて、保育園に通い始めてからは子供の病気で学校を休むことも多かったそうです。

コロナの時期ということもあり、ちょっとした体調の悪化でも保育園から電話がかかってきました。園に子供を預けて一時間後に保育園で体調不良と判断されて、なかよしさんに電話が掛かって来ることもありました。その場合は、急遽授業を自習にするか、他の授業に変更していました。

授業が計画どおり進まず、生徒への迷惑をかけることが多くあったそうです。

こうした日々に、教員として十分に生徒のために働けているのか自信がなくなり、精神的な疲れにつながったそうです。

■石川県に地方移住

●地方移住という選択

なかよしさんは、自分自身にふがいなさを感じ、中学校教員からの転職を考え始めました。

加えて、転職をするのであれば、いっそのこと住環境も変えてしまうことも合わせて選択肢として検討したそうです。

当時、なかよしさんはコロナ禍で住居に閉塞感を感じていました。

埼玉県の1DKのアパートに家族3人で暮らしており、手狭に感じていましたし、加えて、コロナ禍で外出ができずに家の中で遊ぶ娘がかわいそうに感じていました。もっと広々とした場所で遊ばせてあげたいと思っていました。

加えて、もともと旅行が好きだったので、新しい土地で生活することへも興味があったこともあり、いっそのこと首都圏から田舎へ移住し、のびのびとした住環境で過ごすのもいいと考えたそうです。

●石川県に移住

なかよしさんは、地方に特化した転職サイトで転職先を探しました。

そこで見つけたのが、石川県のベンチャー企業でした。社長が一人で経営している会社に、一人目の従業員としてなかよしさんが就職することになりました。やりがいもありそうでしたし、子供にとっても住環境が良くなるのではないかと感じ、転職を決意しました。

実は、パートナーからは、寒い土地はいやだと言われていたそうですが、結果的に石川県の日本海沿いの漁村に移住することとなりました。冬は日本海の強風で瓦が飛ぶことがあるそうです。

住んでいる場所も人口も少なくお年寄りが多い集落なので、子供がとても重宝され、ちょっと子供がお散歩に出かけると、近所の方々から魚や野菜のお土産をもらえるそうです。

●地元の方に紹介頂いて一軒家の購入

なかよしさんは、移住後は賃貸住宅に住んでいましたが、しばらくしてから住居を購入しました。

移住から一年経つ頃に、知り合いの方の親戚の家が解体予定とのことで、解体するくらいであればなかよしさんに譲りたいと紹介してもらいました。リフォームを7〜8年前にしたばかりですぐに住めそうな家でした。

解体すると数百万円かかるので、その費用が浮けばいいからということで、格安で譲って頂いたそうです。

地方移住では物件探しは大事なポイントですが、実際に移住してみるとネットには掲載されていないような空き家情報が地元の知り合いの方から教えてもらえたりするそうです。

一軒家での生活では、子供達がのびのび生活しています。埼玉時代の賃貸とは違って周囲を気にしなくていいため、気兼ねなく家の中で遊ぶことができます。

■移住後の働き方

●ベンチャー企業の忙しさ

石川県へ移住後、なかよしさんは転職先であるベンチャー企業、社長一人、社員一人という駆け出しのベンチャー企業で働き始めました。

ただ、社員一人だと、やりがいはある一方で責任も重く、色々と大変だったそうです。

特に、子供の急な体調不良で仕事ができない日があると、なかよしさんが担う事務関係の仕事がすべて止まってしまいます。仕事は面白かったのですが、今は育児をしやすい環境に身を置きたいと感じるようになりました。

●教員への復職

なかよしさんは、改めて石川県内での転職先を探すことにしたのですが、教員の方が安定しているし、ある程度経験もあるのでこなせるのではないかと思い、教員に復職することにしました。

教員が不足しているので、勤務先の学校はすぐに見つかったそうです。

石川県での教員生活は、基本的な仕事は埼玉県で変わらないのですが、ただ、石川県の方が職場の方が育児をしやすい環境とのことです。

生徒数が違うこともありますが、石川県の方が、教員同士もプライベートの話を気軽にできますし、年休取得率も高いそうです。また、現在は部活動について、主顧問ではなく副顧問にしてもらい、担任の負担も軽減してもらっているそうです。

●個人事業主として独立

なかよしさんは、現在は教員を退職し、新しい一歩を踏み出しているそうです。最近コーチング事業を個人事業主としてスタートしました。

クライアントさんはキャリアに課題を持っている方が多いそうです。キャリアアップしたいけど、何をしたらいいのかわからない方に対して、転職、副業を含めて様々な選択肢があることを提示し、クライアントさんの中から答えを引き出すということをしているそうです。

個人事業主となって感じることは、自分の都合で動ける点はとてもありがたい半面、何もしないと収入が入ってこないので、バランスが難しいとのことです。

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